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Press release
タウンニュース
神奈川県全域・東京多摩地区の地域情報紙
保土ケ谷区版 掲載号:2015年12月10日号
人物風土記に掲載
岩間市民プラザでギャラリー展示中の「studio FLAT」で講師を務める
大平 暁(おおだいら さとる)さん
川崎市在住
アートで差別のない社会に
○…川崎にある就労を目的とした障がい者通所施設でアート活動をしている「studio FLAT」で講師を務めている。施設内に同じ障がい者施設「偕恵いわまワークス」がある縁で「フェローアートギャラリー」を開催。「利用者の方も観覧してくださり、とても良い場所でやらせてもらっています。障がい者としてではなく、一人のアーティスト作品として多くの方に見てもらえれば」
○…頼まれて開いた川崎のアトリエだったが、「始めはどうしていいかわからなかった」。自閉症の青年に頼まれ、彼の作品の下書きの線をなぞって書くだけの日々が続いた。「少しでもはみ出るとすごく怒られた」と懐かしむ。指導中に怪我をするとその彼から絆創膏が。「絵を通して実はちゃんとコミュニケーションがとれていたのか」と安心し、「ゆっくり焦らずにやっていけば、信頼関係を築いていけると確信した」
○…川崎出身。幼少期、画家だった幼馴染の父親に憧れ、油絵具の世界に魅了された。希望する美術大学を目指し、長い浪人生活を経験。東京で一人暮らしを始め、バイトと予備校に通う生活が続いた。実家には「結果を出すまで帰れなかった」が、一度帰省した翌朝、「おばあちゃんが自分にだけ出してくれたわかめの味噌汁」を涙ながらに啜った。「予備校仲間と夢を語り合う毎日で、純粋にアートと向き合った充実した時間だった」。現在はアーティストとして活動している。
○…利用者たちが作業所で織ったさをり織の余り糸を使った作品が、新潟のアートフェアで入選。「彼らとの関わりを外に発信できて嬉しかった」。来年からは、「経済的自立を支援したい」と施設からアトリエの独立を計画し、一般のアーティストと利用者たちの作品を混ぜて展示する「フラット展」も企画。「彼らが社会の一員として当たり前の存在となり、特別な呼称で呼ばれない社会になっていけば」と思いを語った。