SATORU
OODAIRA
connect project 《HAPTIC ART》
workshop
connect project
2016年、studio FLAT、そしてconnect project始動(現在活動中)
「アートが人をつなぐ」、これが私のテーマである。アートを通じて、社会の各所に結び目をつくっていきたいと考え、日々の制作活動に取り組んでいる。2016年には、この理念を実践する場として、社会活動でもあるstudio FLATを立ち上げた。これは、障がいあるなしに関わらずFLATに作品制作や鑑賞を行い、アートの魅力をダイレクトに感じることを目的とした活動である。アートが人をつなぎ、新たな未来をデザインし、未知なる表現の価値創出を目指している。
その活動実績のひとつに、connect projectがある。これは、障がいのある人が通所する作業所から、織物に使うさをり糸の残糸を買い取り、短い糸を結び合わせて新たなアート作品を創出するプロジェクトである。特別な技術を必要とせず、障がいあるなしにかかわらず誰でも制作にかかわることができ、糸をつなぐことで人と人とをつなぐことが可能となる。大学から保育園、障がいのある人たちが通所している施設などをつなぎ、ワークショップを通じて多くの人に糸を結んでもらった。その糸を使って私自身が制作した作品が、2017年3月には、HAPTIC DESIGN AWARDという、触覚をテーマにした賞を受賞することにつながった。この受賞を通じ、制作者としての私は、connect projectの新たな可能性にも気づく事となった。つまり、さをり糸の結び目はHAPTICつまり「触覚」を喚起する。例えば視覚障がいのある人にも、この作品は「触視」することが可能なのである。そして、この作品には未知の表現が隠されています。それは視覚障がいの人へも伝わる表現です。現在の点字というものがない頃、結び文字というものが存在していました。紐の結び目でいろはを表し、文字として認識する方法です。この作品の結び目に触れることで、もうひとつの未知の表現を体感することができます。ランダムに結ばれた、さをり糸からはどのような、抽象的点字表現が現れるかは視覚的にはわかりません。しかし、点字を読み解くように、触れることでこの作品の未知の部分を感じとることができます。障がいあるなしに関わらず、触覚を通じて伝わるアート。新たな※HAPTIC アートとしての価値をデザインして行きます。
以上のように、studio FLATから、connect projectへ、そしてHAPTIC DESIGNへ、思いがけない結びつきやつながりによって、制作者としての私の視野も広がり、活動の可能性が未来へと拡張を続けている。今後は、studio FLATとしての恒常的な制作・発表の場を設けるなど、より多くの人が参加しやすい活動拠点としへの発展を目指し、社会に開かれたアートセンターとしての役割を担っていきたい。アートがひとをつなぎ、新しい未来が創造できることを、私は本気で信じている。
connect project《WORKSHOP》
workshop
高校、大学、盲学校、障がいのある人の通所施設、展示会場にていろいろな人がさをりの残糸を結びつなげていくワークショップです。